アフリカ ギニア ボッソウ村での「緑の回廊プロジェクト」滞在記 準備編(6)

【京都大学霊長類研究所 松沢先生を訪問する】2005年8月15日 Part2

この日、(松沢)先生にお昼ご飯までご馳走になってしまいました。
犬山の名物らしいんですが、豆腐の田楽の定食を出しているところがあるということで、先生の車で連れて行って頂きました。
結構、有名なお店らしく駐車場は車でいっぱい。お店は古くから営業されているような、まるで町屋のような建物。
その中で多くの方々が食事中。我々もその中に混じって食事を頂きいろいろな話を伺いました。
ギニアでの生活、チンパンジーのことなどなど。松沢先生とお話ししていて、
徐々にギニアへ行くのかなぁ・・・と少しずつ実感がわいてきた。そんな感じです。
松沢先生に別れ際に「長谷川さんは外国語は?」と聞かれ、
「英語は何とかアップアップでも会話ができますが・・・大学でドイツ語は習いましたが会話はとても・・・」
と答えると・・・「向こうはフランス語圏ですから是非ともフランス語に慣れてください」と先生。
フ、フランス語ですか・・・長年学校で習ってきた英語でもろくに会話ができないのに?
習ったこともないフランス語・・・不安だなぁ・・・
でも、「なかなか行けるようなところではないですから・・・。素晴らしいところですよ」とすてきな笑顔で先生に言われてしまうと、
「確かにその通りだなぁ」と思ってしまいました。
でも、フランス語かぁ。語学、苦手なんだよなぁ、と不安がまた増えた気がする一日でもありました。

 松沢先生にはボッソウのチンパンジーに関する論文集と、
松沢先生がお書きになった「進化の隣人 ヒトとチンパンジー」(岩波新書)まで頂きました。
論文集は専門的なもので、さすがに植物に関するところをちょっと目を通した程度ですが、
進化の隣人 ヒトとチンパンジー」(岩波新書)は完全に読破。
とてもわかりやすく、とてもおもしろい本でした。
興味のある方は是非とも読んで頂きたいです。
松沢先生をはじめとして、霊長類研究所の方々はチンパンジーを数えるときには○人と数えておられました。
進化の隣人 ヒトとチンパンジー」(岩波新書)を読むとその気持ちが十分に分かるような気がしました。

テレビで放送されている「志村動物園」という番組を皆さんはご存じでしょうか?
時間的にとてもみられる時間ではないのですが、ビデオを撮ってみています。
チンパンジーのパンくんと犬のジェームスくんのお話ですが、とてもおもしろく、驚きでいっぱいのコーナーがあるんです。
チンパンジーの知識レベルの高さと、想像力の豊かさには驚かされます。
犬のジェームス君もかなりの賢さ・・・ヒトとして見習わなければならないところも多くあるような気がします。
進化の隣人チンパンジー・・・チンパンジーにいつか追い越されて「猿の惑星」のような世界にならないように、
ヒトがヒトとしてあるために何をすべきか・・・少し考えさせられます。
ちなみに、「パン君」は松沢先生にとってNGワードであるらしいです。
研究しておられる方に伺いました。
あれはチンパンジーの知識レベルの高さはうかがい知れるが、チンパンジーがチンパンジーらしく生活できる機会を失っている、
ということらしいです。たしかに、パン君が野生に戻れる気はしませんねぇ・・・。

続く

アフリカ ギニア ボッソウ村での「緑の回廊プロジェクト」滞在記 準備編(5)

【京都大学霊長類研究所 松沢先生を訪問する】2005年8月15日

2005年8月15日、京都大学霊長類研究所の松沢先生の研究室を訪問しました。
緑の回廊プロジェクトを中心的に行われているのが松沢先生なので、
是非ともお話しさせて頂こうということで、お盆の最中訪問しました。
霊長類研究のチンパンジー「アイ」ちゃんがいるところです。
天才チンパンジーとして有名な、あの「アイ」ちゃんです。

松沢先生は生活のほぼすべてをチンパンジーの研究に注ぎ込まれている先生です。
研究者だから、お堅い感じの人・・・という先入観は正直ありました。
でも、松沢先生は悟りを開かれているような穏やかな方でした。
物腰柔らかな話し方。テレビで観る先生そのものという感じでした。
ボッソウで撮影された写真でチンパンジーについての話をしてくださいましたが、
本当にチンパンジーが好きなんだなぁ、という印象を受けました。

そして私、おそらくはじめて実物のチンパンジーをみました
(子供の頃にもしかしたら動物園で観たことがあるかも知れませんが記憶にありませんでした)。
チンパンジーって結構大きいんですよね。
体重は成人男性並みの60~70kgくらいはあるとのこと
(記憶が確かならば、ということですが・・・)。
背の高さはそれほどではないのですが(120cmくらいでしょうか)、体格がいいのです。
肩幅も広く、筋肉質。野生動物の力強さを感じました。一瞬、ゴリラかと思うくらいの迫力でした。

また、このチンパンジーの中にアイちゃん
(NHKなどで紹介されている天才チンパンジーのアイちゃんです)がいると思うと感動です。
どのチンパンジーがアイちゃんなのか分かりませんでしたが・・・
残念ながら初めてみるチンパンジーを見分けるのは不可能でした。
でも、霊長類研究所で研究されている方々はさすがにチンパンジー個人を認識されています。
人間と同じでそれぞれ個人に特徴があるらしいです。

霊長類研究所のチンパンジーは、平日は学生さんや研究者とともに様々な研究に取り組んでいます。
もちろん、チンパンジーは被験者ですが、この作業、チンパンジーにとってストレスになるのではないか、
と思われる方もおられると思いますが(僕もそう思っていました)、
実はチンパンジーは研究の中で様々な学習や作業を行うことが好きなようなのです。
研究所の方のお話ではむしろ、チンパンジーは暇が嫌いだとか・・・
研究を行っているウィークデーはチンパンジーはストレスを感じないとのことですが、
週末やお盆休みなど研究が休止する日はチンパンジーは退屈で仕方がないとのこと。
いたずらをする日は決まって暇な日だとのことです。

退屈が嫌だということはやはり知識レベルが高いということではないかと思います。
チンパンジーの知識レベルの高さに驚かされました。
こんな話をチンパンジーが生活している空間をみせて頂きながら伺ったのですが、
チンパンジー達は興味津々でこちらを観ています。
特に暇なお盆休みなのでちょうど良い暇つぶしになったのかも知れません。
どっちが観察しているのか分からなくなるような変な気分になります。

特に子供のチンパンジーは新しい人が来ると、興味を強く示し、
場合によってはものを投げてきたり、口の中にある種などをとばしたりするらしいので、
「注意してくださいね」といわれていました。
私も初めてのチンパンジーを興味津々でじ~っと観てました。
すると、子供のチンパンジーのイタズラ心に火がついたのか、
こちらに向かって口を開けて(唇をまくり上げるようにして)
つばを吐いてきました。
興味を持たれてしまったようで・・・
ボッソウ村では大丈夫だろうか。
ボッソウでは手の届くような範囲にチンパンジーがくるらしいのです。

続く

アフリカ ギニア ボッソウ村での「緑の回廊プロジェクト」滞在記 準備編(4)

【牛田先生とヘキサチューブの現場を視察する・・・ギニアの緑の回廊プロジェクトへ向けて】

左:筆者
右:牛田先生
真ん中:学生さん

2005年8月3日、この日は牛田先生と、この月の半ばにボッソウへ行くという京都大学の学生さんと一緒に
ヘキサチューブの現場を見学に行くことになりました。
そう、私は「緑の回廊プロジェクト」のお手伝いをしに行くのですが、
あくまでも会社の製品である「ヘキサチューブ」をプロジェクトでご購入いただき、
そのチューブの特性を活かして木々を活着させ生長させてプロジェクトのお役に立つ、
という役回りなのです。

そこで、一緒にギニア共和国へ行って頂く牛田先生には、
パンフレットなどではなく実際に使用されている現場で実感して頂こう
ということになったのです。

フランス語が公用語となっているギニア共和国では、
フランス語が堪能な牛田先生が頼りの綱で、
現地でのプレゼンテーションは牛田先生が頼りとなるため
(もちろん日本語で私が説明はしますが)、
しっかりとヘキサチューブについてご理解頂くことが必要だと考えたからです。

さて、今日見学に行く所といえばもちろん木が植えられている場所に行くので山です。
いつものように僕は作業服に地下足袋という出で立ち。
ところが、学生さんの足元を見ると、サンダル。
山に行くというのに裸足にサンダルはないだろうと心配するこちらの気持ちとは裏腹に、
何も気にしないで山の中へザクザク歩いて行く学生さん・・・
これくらいの根性(というか気にしないおおらかさといった方が適切なのかも知れない)がないと
ギニアへは行けないのだろうか、と若干の不安を覚えました。

ところで、実はこの日私が牛田先生とお会いするのは初めて。
しかも教授と伺っていたので緊張していたのですがかなりフレンドリーな先生で、
お話ししていても楽しい方で、二人でギニア共和国へ行くことになっても
毎日緊張しまくって生活する必要がないように感じられて、
またギニア共和国行きの不安要素が1つなくなった日でもありました。

現場の見学の後は会社の人々(大勢)と牛田先生、学生さんとともに夕食を食べることになりました。
会社としても牛田先生には私のような人間を託さないといけませんし、
牛田先生にはいろいろな情報を持って頂いた方が現地でのプレゼンテーションに役立つということもあり、
私との顔合わせということもあり、設けて頂いた食事会です。
牛田先生はお酒を飲むとさらに陽気になられ、しかもけっこう飲まれる。
私もお酒は好きなので、ここでもちょっと一安心。
食事会が終わると私と他の同僚は先にお暇いたしましたが、
社長と牛田先生はそのままお残りになり飲んでおられたそうです。
田中先生は学生さんと夜の町に繰り出されました。田中先生も結構飲んでおられたと思うのですが、
さらに飲んで帰られる模様でした。
農学部の先生って一体どんな肝臓しておられるんだろうか・・・。
牛田先生曰く、「人間生きているとどこかでエネルギーを発散するものですよ。お酒かスピード」ですって。
無駄話ばかりで、ここまで来ても全然ギニア共和国へ近づいてないような気がするかも知れませんが
確実に私のギニア行きは近づいているんです、これでも。

アフリカ ギニア ボッソウ村での「緑の回廊プロジェクト」滞在記 準備編(3)

【プラントハンター 立花先生】

2005年7月30日、若い頃プラントハンターとして世界中を飛び回っておられた
立花先生とお話しさせて頂きました。

※立花吉茂:大正15(1926)年8月1日生まれ 旧制中学校卒業
京都大学農学部園芸学研究生から文部教官(助手)
大阪市立大学理学部付属植物園に勤務 助手から講師を経て助教授に。
大阪市「咲くやこの花館」顧問(植物プロデューサー)
昭和36年までにハワイ・アメリカ全土・メキシコ・コスタリカ・コロンビア
・韓国・中国・タイ・マレーシア・スリランカ・インド・セーシェル
・モーリシャス・レユニオン・マダガスカル・南アフリカなどで
植物調査、採集、栽培指導を行う)

ハイトカルチャ社は日本での緑化事業に関しては現場もたくさんみているし、
植物もみています。感覚として何となく分かる、というところがあります。
しかし、残念ながらギニア共和国となると想像すらできませんでした。
恥ずかしながら、植物のことどころかギニア共和国という国のこと自体が
よくわからないのでした。
アフリカの熱帯地域という感じの大きなくくりで中学・高校の時に
地理の授業などで習った程度のことしか分からない、
つまり一般人と情報量は大して変わらない、というところだったのです。
熱帯地方の植物については、よくご存じの立花先生に話を伺うことで
事前の心と知識の準備をしておこう、そういうことで話を伺ったのです。

京都大学霊長類研究所からギニアでの研究資料の一部を頂き、
その中にボッソウの付近に生えている植物のリストがありました。
チンパンジーが生活している場所の環境を知るための基礎資料として
調査されたようです。
それにしてもかなりの数の植物があり、
よくこれだけ調べたものだと思いました。
が、植物名についてはすべて学名で記載されており、
恥ずかしながらどんな植物なのかまったく理解できませんでした
(まあ、仮に植物名が和名であっても知らないものが
多かったとは思いますが・・・)。
いったいどんな姿をした植物なのか、
どんな性格の植物なのかなんてことも全くわかりませんでした。

立花先生はそのリストを眺めて、
「もともと自生していたものもあるけれど、
作物として持ち込まれたものも相当ある」と言っておられました。
カカオやミカンの仲間、パイナップル、コメ、カシューナッツ、落花生、
パパイアなどなど・・・
元々の植生もわからないうえ、作物まで混じっているとなるとその中から
本当にどんな植物を「緑の回廊プロジェクト」に使うべきか、
まして植物名がわからない。こんな状況で本当にギニア共和国へ行って
「緑の回廊プロジェクト」のお手伝いができるものだろうか。
そんな不安がどうしても消えない。
しかし、そんなとき立花先生は、

「まずは現地をよく観察すること。
どんなところにどんな植物が生えているのか、
それがわかるとおのずとどの植物を植栽すればいいのかわかってくる」

と仰いました。
そう、植物の名前など知らなくても、
観察することで植物の性格などは大まかにわかるはず。
基本中の基本を忘れておりました。

ただ、観察するにあたって、日本では木々の光に対する要求度は
「陽樹」「陰樹」の2種類に分けられるけれど、
ギニア共和国のような熱帯地域では「中間樹」のような性格のものがあり、
そこもよく注意して観ておくように、とのことでした。
陽樹とはよく開けた明るい環境を好む木々で、
こういった植物は林縁部(林と開かれた場所の境目あたり)に
よく見られます。
逆に陰樹とはある程度成立した木々の下のような日陰
(といっても暗すぎると枯れてしまう)を好む木々であり、
こういった木々は林の中に多くみられます。
中間種は小さい頃は木陰でも育ち、
大きくなるともともとあった木々の上に頭を出して
優先的に育っていけるような木々であるそうです。
ちょっと日本の自然植生(人工林ではない環境)では
あまり見かけない性格のもののようですが、
がんばって観察して木々の性格を何とか把握して、
その結果を「緑の回廊プロジェクト」に活かしていこう、
と思えるお言葉をいただけたのは大きな前進でした。

PHOTOS by Ryo