データ:シカの食害高試験データ

①170cm高で食害率10%に周辺植生の繁茂でシカ被害は軽減される

「ニホンシカの食害高試験」

調査期間:01年6月22日~02年4月23日
植栽種:サクラ
試験場所:兵庫県南淡町上阿万(旧緑資源公団神戸出張所分収林事業地)

試験概要:ツリーシェルター高、140cm、150cm、160cm、170cmの4種を各20本ずつ植栽木に設置し、シェルター上部から出た苗木の食害の有無を記録した

試験結果

・140cm高のツリーシェルターは上部からの食害がある

・50cm、160cm、170cmとシェルターが高くなるにつれ、上部からの食害率は減少この結果から、ニホンシカの食害を完全に防ぐためには、170cm以上のツリーシェルターが最も有効である。

しかし、ツリーシェルターの高さが高くなればなるほどその維持・扱いが難しく、コストも割高になる。左下の写真は当試験地のその後の状況。下刈を行わなかったことで、下草が次第に繁茂。シカの食害被害は収束し、当初140cmシェルター上部から食害を受けていた苗木は、立派に成長した。下草が繁茂し足元が心もとなくなると、シカも足を踏み入れることを躊躇するようである。また、植生に刺のあるノイチゴやノイバラなどがあると、尚更侵入しにくくなる。

②【140cm】 下刈りを省略し、下草を繁茂させ、シカの侵入を防ぎ食害を防止する

植栽年月:1998年3月
植栽種:ヒノキ
事業場所:大阪府能勢町(保安林改良地)

シカによる植栽木食害の激害地。
シェルターの高さは140cm。
下刈りは植栽当年から行わず。

1999年11月
ツリーシェルターの上部からシカの食害を受けていた。
下刈りを省略することで、その後周辺植生が繁茂・回復。

2002年11月
ヒノキの食害問題は解消。
植生に被圧されることも無く大きく成長した(写真左)。
下草の繁茂に伴い、シカの侵入も止まった。足元が覚束ないため、侵入を嫌ったためと推察された。

試験結果

140cm高のツリーシェルターでも下刈を省略することでシカの侵入・食害を防ぎ、成長させることができる。